紀田本の歴史を形態面から考えると、検索という機能を中心に動いている。昔、エジプトで使用されたパピルスは巻物だったんですが、これはシーケンシヤルファイルで、最初から見ていかないといけない形態の情報です。これが途中から冊子体になったのはランダムアクセスができるようにしたということなんです。聖書は、信仰や論争の必然性から索引機能が持たされています。図書館に行けば本の分類システムもできていて、検索しやすいようになっています。読みやすさ、利用しやすさといってもいいんですが、本の歴史は検索性によって展開してきたところもあるといえますね。ノンブルを付けるといったことも、そういう範ちゅうに入るかもしれません。検索性と便利さの究極の形が電子化と考えると、本の持っていたある機能は、完全に電子メディアに置き換わるかもしれない。辞書とか資料本は、電子出版に向いていますね。最近は手帳型の電子辞書も出ていますから、これまでのように重い辞書を持って歩く必要もなくなってくる。そして寝転かって読むような趣味の本は置き換わらないで、読む快楽を知っている人の間に残っていくと思うんです。ただ、印刷物の中で、辞典類などの製作は、時間がかかり、大がかりなシステムやある程度の組織、資金が必要になります。これまでの活字文化の世界で成されてきたことが、電子メディアの分野でどこまで可能なんでしょうか。というのは、活字文化の時代には、ある程度成り行きに任せて進められた。
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