為替相場制度の改革案

2011.08.11

変動相場制にも依然として問題点があるため、同問題が深刻な形で現れた場合には、さまざまな改革案が出されることがあります。それらを大別すると、(1)変動相場制を存続させるが運用面での改善を図るもの、(2)ターゲット・ゾーン(目標相場圏)を定めて相場の安定を図ろうとするもの、(3)固定相場制を復活させようとするものの三つに分けることができるでしょう。金本位制や金・ドル本位制といった固定相場制への復帰は、現状では非現実的改革案ですので前二者についてみてみましょう。改革案の中で一番多くみられるものの一つがターゲット・ゾーン構想です。この構想にはターゲット・ゾーンの幅をどの程度にするか、ゾーンを公表するか否か、ゾーンの変更をどのような形で認めるかなどといった点によって、固定相場制的色彩の濃いものから変動相場制的色彩の濃いものまでさまざまな形態が考えられます。しかし、その基本は、各国が維持すべき為替相場圏を設定し、同相場圏内に為替相場が収まるよう市場介入したり経済政策を調整したりするというものです。このようなターゲット・ゾーン制度に対して、ネガティブ・ターゲット・ゾーン制度という考え方もあります。これは当該為替相場があり得べきゾーン(このゾーンは公式に発表されることはない)から大きく乖離しているということで、各国当局間に意見の一致がみられた場合には、その水準を是正すべく協調して介入を実施するというものです。この場合、相場変動の許容範囲を具体的に明示することが意図されていないので、消極的な(ネガティブ)目標相場圏制度と呼ばれるわけです。ターゲット・ゾーン構想に見かけが類似しているものとして、レファレンス・ゾーン構想というものがあります。目標相場圏を設定するという点ではターゲット・ゾーン制度と同じですが、為替相場が同ゾーンから乖離した場合、ダーゲット・ゾーン制度では介入によって相場をゾーン内に収める義務があるのに対し、レファレンス・ゾーン制度のもとでは各国当局は必ずしもそのような義務を負わず、ターゲット・ゾーンからさらに乖離するような介入が禁じられるにとどまります。次に、現行の変動相場制の存続を前提とする改革案についてみてみましょう。この案は「為替相場が安定するのは望ましいが、ターゲット・ゾーンを決定することは実際上かなり困難であり、同ゾーンを維持するための負担を各国がどのように分担するのかも決定困難である」という認識に基づいています。したがって、この案では、為替相場の安定は介入と経済政策の調和によって達成すべきであるということになります。こうした制度は、管理変動相場制と呼ばれます。